抗体医薬品
抗TRAIL-R2抗体の安全性評価
抗TRAIL-R2抗体は、がん細胞表面に存在するTRAIL-R2(腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド受容体)に結合し、がん細胞に細胞死(アポトーシス)を引き起こさせる抗がん剤としての効果が期待されている抗体です。
一方で、マウスやサル等の実験動物を使用した非臨床試験では観察されない肝毒性が、ヒトの臨床試験で観察されたという報告がなされております。
そこで、ヒトで観察された肝毒性をPXBマウスを使用して予測する 試みが実施されました。
PXBマウスに抗TRAIL-R2抗体を投与することで、血中の肝障害マーカーの1つである肝逸脱酵素ALTのうち、ヒト肝細胞由来のALT(ヒトALT1)が急激に上昇することが確認されました。
PXBマウスに抗TRAIL-R2抗体を投与することで、ヒト肝細胞領域での単細胞死や細胞変性が起こることが確認されました。
PXBマウスを使用することで、ヒトの肝毒性を予測することができました。
参考情報(外部リンク):Nihira et al., Toxicol Sci. 2019 Jan 1;167(1)
抗体医薬品での実施例
学会発表
学会:HCV2010(17th International Meeting on Hepatitis C Virus and Related Viruses)
演題:Evaluation of a panel of anti-CD81 antibodies using human liver-uPA/SCID mice
演者:Tami Pilot-Matias(Abbott社)
学会:SOT 56th Annual Meeting and ToxExpo 2017
演題:An Agonistic Antibody against TNF-Related Apoptosis-Inducing Ligand Receptor 2 (TRAIL-R2) Causes Hepatotoxicity in Chimeric Mice with Humanized Liver.
演者:仁平 開人 様(協和発酵キリン株式会社)
学会:第46回 日本毒性学会学術年会(2019)
「技術賞受賞」
演題:ヒト肝臓キメラマウス(PXBマウス®)を用いたTRAIL-R2/death receptor 5アゴニスト抗体の肝毒性評価及び網羅的遺伝子解析による機序解明
演者:仁平 開人 様(協和発酵キリン株式会社)
論文発表
掲載雑誌名:Toxicol Sci. 2019 Jan 1;167(1):190-201. doi: 10.1093/toxsci/kfy228.
論文名:Chimeric Mice With Humanized Livers Demonstrate Human-Specific Hepatotoxicity Caused by a Therapeutic Antibody Against TRAIL-Receptor 2/Death Receptor 5
著者:Nihira et al.(協和発酵キリン株式会社)
URL(外部リンク):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30202993/
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